どのようなトレーニングを?
前回は「2012年のあなた自身のゴールを設定しよう」と申し上げましたが、今回はそれにもとづきどんなトレーニングが必要なのかを述べてまいります。
Steven Munatones氏の著書「Open Water Swimming」を参考に解説してゆきます。
彼は本の中でオープンウォータースイミングを習得するにはTactical knowledge(戦略的な知識)が要求されると説いています。
その戦略的知識とは:
① ベーストレーニング
② スピードトレーニング
③ 距離に対応する耐久力養成
が基礎的要素として必須だとしていいます。そしてそのうえで
④ レースの為の特別なトレーニング
⑤ スキルトレーニング
⑥ OWSシミュレーショントレーニング
が必要になってくるのだと。それらを総合して戦略的知識と呼んでいます。
① Base Trainingベーストレーニングとは
このオフ期、シーズン前にしっかりと体力や泳力を強化しておくことを目的とするものです。プールなどのマスターズコースでのスイムトレーニングに参加することや仲間同士でメニューを設定して練習を積んでいただくこと。少なくとも週に3回、1日2,000mくらいはこなしておきたいものです。
但し、仕事などで多忙な方はこの時期、ストレッチや筋力アップなどで必要な部分を補強しておくことも重要です。
ベーストレーニングの重要な要素はやはりConsistancy継続・持続させることです。一度スタートした計画はとぎれずに継続して行ってください。強い意志を持って持続させることが大事。また距離については目安として「あなたが目標としているレースの距離の3分の一」をしっかりと持続して泳げることが出来るならばきっとあなたは本番のレースでもいい結果を生み出すことができるでしょう。
(例として10kmのスイムマラソンに挑戦するならば継続的に3kmの合計距離を盛り込んだトレーニングメニューをこなしてゆけばいいのです。)
練習メニュー例:①
① 500mx3本 Pullプル(Pull-BuoyプルブイとSnorkelスノーケルを付けて)
② 500mx3本 Swimスイム(500mを1本づつ徐々にタイムを上げてゆくDescending Setディセンディングセットとする)
合計距離:3,000m
これをアレンジして200mx3プル+200mx3スイム(ディセンディングセット)の
合計1,200mにしてもよし。
とにかく10人十色です。年齢や泳力のレベルによってみな異なる練習をおこなえばよい。
自分に合った練習を考案してください。
練習メニュー例:②
③ 2000mx1本 スイム(200mごとのディセンディングセット)
④ 500mx3本+100mx2本+50mx2本+25mx4本スイム
合計距離:3,800m
これをアレンジして800mx1本(200mのディセンディングセット)+200mx3本+100mx2本+50m x2本+25mx4本の合計1,700mでチャレンジ。
練習メニュー例:③
⑤ 800mx10本(12分サークル)
⑥ 1本目から5本目までをディセンディグセットとする)
合計距離:8,000m
これをアレンジして400mx10本(1-5をディセンディングとする)の合計4,000mとするのもよし。
ちなみに世界的なOWSスイマーはどんな練習をしているのか?
○5kmの世界チャンピオンであるメリッサゴーマンは;
3000m+2000m+1000m(すべて100m1分10秒ペースで泳ぐ)
○オリンピック選手のコールサットンは;
100mx30本(100m1分15秒ペースで泳ぐ)
② Speed Trainingスピードトレーニングは
アップテンポな泳ぎを通してスピードをアップしてゆくトレーニングでいつものレペテイションセットに加えて最後の2分間に最大付加をかけて最大筋力をアップさせてゆくと効果がある。要は「スピードの変化」に対応するようなEasy&Hardイージーハードを繰り返しておこなったりするのもよし。
練習メニュー例:④
○150mSwimスイム+30mKickダッシュキック+100mスイム+20mダッシュキック+50mスイム+10mダッシュキック+25mスイム+ダッシュキックの計
○400mスイム(50mx4本を意識し、ラップごとにスピードをアップしてゆく)+300mスイム(100mx3本を意識してラップごとスピードアップ)+200nスイム(100x2本を意識し、ラップごとにスピードアップ)+100mオールアウト(全力)の計1000mなど
※当然ご自身のレベルにあわせてアレンジしてください。;
○200mスイム(50mx4本を意識してラップごとのディセンディングセット)+100mスイム(50mx2本を意識してラップごとのディセンディングセット)+50mスイム(50mx2本を意識してラップごとのディセンディングセット)
③ 距離に対応する耐久力養成(Establishing a torerance for distance)は
あなたがレースで規定されている距離を確実に泳げる能力(完泳できる能力)をつける為のものです。ここではレース時のようなペースで泳ぐ必要はなく、「一定のペースで安定し・連続して泳ぎ抜くこと」を心がけてください。その場合に泳ぐ距離の130%(3割増し)の距離を設定してトレーニングを行ってください。というのは自然条件下でのレースですのでまっすぐ泳ぐことが難しいということ・当日のコンデイションでプールでの泳ぎの時よりづっと海水温度が低いとき・カレントがアゲインストになっている時・予想より波が高かった時などを想定してあくまでオープンウオーターレースで起こる予期せぬ事態や+++などをカバーするための余裕文と考えてください。そうすれば本番のレースでも自信をもって臨めるはずです。
練習メニュー例:耐久力養成メニュー
○1000mx3本スイム 30秒レスト
○1500mx2本スイム 1分レスト
○10x400mスイム+400mごとにプラス100mハードを行う
○20x200m交互にスイム&プル(奇数回をスイム・偶数回をプルで)
次回は④~⑥を書いてゆきます。
※これらのトレーニングメニューはあくまで皆様の年齢や泳力によって異なるものですのでぜひ各自で工夫しチームや個人にあったトレーニングメニューを作成してトレーニングに励んでください。
※3月に予定されているXスイム大会などにもぜひ現在の泳力を図る意味でもご出場されることを期待します。
参考資料:Open Water Swimming by Steven Munatones